・とにかく応援したい自治体がある企業
はじめにーふるさと納税には企業版がある
個人向けのふるさと納税は数年前に返礼品の豪華さからブームになりました。
政府による返礼率の引き下げもあり、盛り上がりも一服した様ですが、現在でも所得税・住民税を抑える効果や返礼品を楽しめるお手軽節税スキームとして多くの方が実践しています。
ふるさと納税関連記事は既にたくさんあるので、今回は「企業版ふるさと納税」をご紹介致します。
企業版ふるさと納税とは

企業版ふるさと納税とは、地方創生応援税制の一環であり、地方公共団体が行う地方創生の取組に対する企業の寄附について税額控除の優遇措置制度です
平成28年度に開始されました。
もう少し崩して説明すると、 内閣府によって認可された地域再生計画へ寄付をする事で損金計上はもちろん、税額控除も追加で受けられる節税効果の高い節税スキームです。
企業版ふるさと納税のメリットは?

企業版ふるさと納税は個人版のふるさと納税とは違い、純粋な寄付行為です。
寄付に対する見返りは無い為、キャッシュを残すという事だけに注目するならば、しない方が良いでしょう。
※この制度では寄附企業への経済的な見返りは禁止されています。
この事からも、企業版ふるさと納税の最大のメリットは節税効果の高さと企業が積極的に社会貢献(CSR)活動に取り組む姿をアピールすることによるイメージ向上です。
高い節税効果
もともと、企業の自治体への寄付は全額損金算入が可能であり、寄付額の約3割程度の節税効果がありました。
しかし、企業版ふるさと納税ではさらに3割の税額控除がある為、企業側の負担は4割で済むことになっています。
企業が100万円の寄付をすると実質負担額は約40万円でよいことになります。
社会貢献(CSR)活動に取り組む姿をアピール出来る

こちらは内閣府の広報資料ですが、この様に企業名をアピールする事ができます。
さらに、企業にとってのメリットの欄に、「地方公共団体との新たなパートナーシップの構築」とあります。
つまり、、、そういう事なんでしょう。
自治体によっては、官公庁HPで寄付企業を広報している事もあります。
例)徳島県
徳島県ではHPに会社情報を載せていますね。

例)滋賀県
滋賀県では寄付企業のHPをリンクしていますね。

自治体からの被リンクということもあり、ドメインパワーのアップに効果絶大です。
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さて、他にもたくさんの自治体がHP等で広報してくれています。
全部見るのは大変なので、各自応援したい自治体のHPをご覧ください。
直接的な見返りは禁止されていますので、物品などの返礼はありませんが企業イメージの向上と寄付先の自治体からの心証アップは間違いないでしょう。
制度活用の流れ
制度活用のフロー図です。

内閣府より企業版ふるさと納税対象事業を地域別でまとめて広報していますので、こちらから応援したい自治体やプロジェクトを探す事になります。
その後、自治体の担当部署に連絡し寄付を申し出るといった流れになります。
内閣府地方創推進事務局HP
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/portal/tiiki_index.html
寄付後には寄付に対する領収証が発行されますので、関与税理士に相談しましょう。
尚、この制度はあくまでも地方創生を目的としている為、東京23区などは対象ではありません。
また、本社所在地への寄付も対象とはならない為、要注意です。
企業版ふるさと納税には上限はあるの?
① 法人住民税 寄附額の2割を税額控除 (法人住民税法人税割額の20%が上限) ② 法人税 法人住民税の控除額が寄附額の2割に達しない場合、寄附額の2割に 相当する額から法人住民税の控除額を差し引いた額を控除 (寄附額の1 割、法人税額の5%が上限) ③ 法人事業税 寄附額の1割を税額控除(法人事業税額の20%(※)が上限) (※)地方法人特別税廃止後は15%
寄付額自体に上限はありせんが、節税効果を最大限で享受する為にも税理士と相談し今期の納税額を予測しておく必要があります。
下限としては10万円以上の寄付が対象となることが記されています。
企業版ふるさと納税はいつまで?拡充・延長も
令和2年度税制改正により、企業版ふるさと納税の拡充・延長が見込まれています。

適用期限の延長
税額控除の特例措置が5年間延長され、令和6年度まで適用される事になります。

税額控除割合の引上げ
税額控除割合が現行の3割から6割に引き上げられ、損金算入による軽減効果と合わせ、税の軽減効果が最大約9割(現行約6割)となります。

まとめ
①企業版ふるさと納税は、社会貢献を考える企業にとってはかなりお得! ②本社所在地への寄付は対象外なので要注意! ③税制改正により期間延長・節税効果アップが見込まれている! 税制改正による節税効果アップの適用は、令和2年4月1日以降の寄付分からの見込みです。
急ぎで節税対策を講じる必要が無い場合は、タイミングを見計らって最大限の節税効果と企業イメージの向上効果を受けましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。