先日、BSのTBSニュース1930という番組内で竹中平蔵氏が「ベーシックインカム」について語っておられました。
それを受けて、翌日のSNSなどでは一時トレンド入りする大騒ぎでした。
私も気になったのでいくつかTweetをしました。
今回はそんな話題を呼んだ竹中式ベーシックインカムについてまとめてみます。
報道より少々日が経ちましたので、まずは改めて内容を確認しましょう。
竹中平蔵式 ベーシックインカムの概要

同氏が提案する(所得制限付き)ベーシックインカムの 大まかな趣旨はこちら。
- 国民全員に毎月7万円を支給
- 所得が一定以上の人はあとで返す
- マイナンバーと銀行口座をひも付けて所得を把握
- 財源は公的年金制度と生活保護の撤廃
国民全員に毎月7万円を支給

日本国に籍がある人全員に対し毎月7万円を支給するというものです。
つまり、日本国籍を持つ1億2581万人(令和2年9月1日現在(概算値))に対し7万円を毎月支給するという事です。
実現する為には毎月8兆8千億円。年間で106兆円必要となります。
財源については後ほど言及します。
所得が一定以上の人はあとで返す
全員に支給するとは言いました。
しかし、所得制限がある様です(?)
そもそも所得制限付きの給付がベーシックインカムと呼べるのか疑問ですが、あくまでも竹中式なのでそこは良しとしましょう。
名前なんてどうでもいいんです。
ただ、
①一定以上の所得とはいくらなのか?
②「あとで返す」の「あと」はいつなのか?
③返せなかったらどうなるのか?
このあたりが気になります。
所得制限により給付されないのであればわかります。
ただ、あとで返してと言われても高所得が続くとは限りませんし、返すお金が後にあるかどうかわかりません。
放送を見逃した為、いろいろ検索してみましたが「所得制限」に関する深い記述はありませんでした。
おそらく放送内でも言及しなかったんだと思います。
草案の段階で反対層をむやみやたらに増やす事を嫌ったのでしょう。
それにしても非常に不可解な項目です。
マイナンバーと銀行口座をひも付けて所得を把握
こちらは政府が以前から義務付け(予定)としている案件ですので、特に深堀りしなくても良いでしょう。
代わりにマイナンバーに関する記事を一つ置いておきます。
財源は公的年金制度と生活保護の撤廃
先ほど同案の成立には年間106兆円の財源が必要と書きました。
その財源が公的年金と生活保護の撤廃です。
給料から厚生年金と健康保険併せて徴収される為、
健康保険が無くなる!や
国民皆保険制度は日本の根幹!
など様々な声が上がっていましたが、私の知る限りこの草案に健康保険は関係ありません。
あくまでも「公的年金制度」と「生活保護」の撤廃です。
年間106兆円の財源の確保は可能なのか??
では、財源についてデータを見てみましょう。

こちらのデータの(右側)を見るに、現状の保険料の徴収と税金からの流用で120兆円程度の財源があります。
そして、(左側)現体制の年金+社会保障費が120兆円程度。(画像は拾い物ですが、おおよそこんなもんです。)
つまり、公的年金制度と生活保護の撤廃により竹中式ベーシックインカムの財源は確保できる見込みです。増税の心配はありません。
竹中式ベーシックインカムによる恩恵は?
もちろん月額7万円の収入増です。
単独世帯で7万円。4人家族なら28万円。7人家族なら49万円です。
#7万円では足りない
#竹中平蔵は7万円で暮らしてみろ
といったハッシュタグも見かけましたが収入が7万円増えるのです。何の文句があるんですか?
仕事を辞めろと言っている訳ではありません。
年金と生活保護をなくす代わりに毎月7万円支給するから、生活の足しにするなり貯金するなり投資しろということです。
若い世代にとっては搾取の象徴だった公的年金が老後ではなく今から貰えるのです。
喜ばしい事ではないですか。
竹中式ベーシックインカムの狙いは?
公表される事は無いでしょうから正解はわかりませんが、竹中式ベーシックインカムの狙いは二つあって
①破綻した年金と社会保障の代替案
②少子化対策
でしょう。
破綻した年金を破綻したと言わずに済む方法

実を言うと年金はもうだめです。突然こんなこと言ってごめんね。 でも本当です。 2,3年後にものすごく保険料があがります。それが終わりの合図です。程なく大きめの改定が来るので気をつけて。それがやんだら、少しだけ間をおいて終わりがきます。
とまぁ、冗談(ではない)はさておき、年金は破綻したんです。
1961年に始まった拠出制年金ですが、その頃の日本は人口が増加傾向であり医療も今より発達していなかった為に人口分布も適正でした。
しかし2020年現在、出生率は1.36と落ち込み医療の発達により平均寿命は大きく伸び、日本は超高齢化社会になり人口分布は逆三角形に近い形となりました。
そんな状態で1961年時点の年金制度の構想が通用する訳もなく、年金の徴収額は増え、支給時期も後ろ倒しとなっています。
政府は政策として始めた年金制度について、破綻しましたとは言えないので代替案を用意しました。
これが竹中式ベーシックインカムです。
少子化対策
ベーシックインカムが何故、少子化対策になるのかは考えるまでもありません。
未就学児であろうと0歳児であろうと日本国民であれば毎月7万円貰えるのです。
地方で子供が5人も居れば働かなくても生きていけるでしょう。
間違いなく出生率は上がります。
竹中式ベーシックインカムで金の流れが変わる

竹中式ベーシックインカムでまず困るのは現役の年金受給層とその予備軍(50~64歳)でしょう。
2か月に一度14万円以上貰っている年金受給者は当然減収になります。
また、生活保護受給者も同様です。※本当に生活保護が必要な方に関しては別に手当等が用意されるでしょう。
国から高齢層へ流れていたお金が若年層へ移るのです。
若年層がお金を持つ事のメリット
若年層にお金が流れる事で消費は進みます。
国内の経済は活発化し、安全で複利効果の高い超長期投資が主流になるでしょう。
小さい頃から貯金や資産運用に関わる事により投資の知識も得られるでしょう。
大学生になる18歳まで、毎月7万円を積み立てるだけで 1千5百万円です。
大学の授業料も結婚式の費用も心配しなくていいんです。
竹中式ベーシックインカム まとめ
竹中式ベーシックインカムの概要は
■国民全員に毎月7万円支給
■所得が一定以上の人はあとで返す
■マイナンバーと銀行口座をひも付け
■財源は公的年金制度と生活保護の撤廃
です。
実現されれば、未成年及び現役労働世代のほとんどがメリットを享受する事になり、日本国籍を持たない方への生活保護は廃止され、少子化も改善され国内経済の流動性が大きく活発化するでしょう。
その反面、損を被るのが年金受給層とその予備軍(50~64歳)です。
その中でも多く税金を納めてきた方や妻や子の居ない独身世帯が割を食う事になります。
不満や反対の声が上がるのは解ります。
しかし、少子化対策と年金問題を解決する方法は多くありません。
それに仮に竹中式ベーシックインカムが功を奏し、少子化問題が解決し人口分布が1961年同様にピラミッド型になったとしたら、その時には竹中式ベーシックインカムは破綻するかもしれません。
そして、過去をならい年金制度が復活するのでしょう。
いつの時代も制度の狭間で損を被る方は発生します。
確かに、多くの問題を抱えた同案ですが竹中氏へのイメージや「7万円」という数字に拘り過ぎず、向き合ってみると検討の余地は大いにあると思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
そろそろ幣ブログよりふるさと納税してください。